2008-01-01から1年間の記事一覧

 いったい何をしていたのか。

すっかりご無沙汰になってしまっていた、かわいそうなこのブログ。今年はなかなか更新されず、書き手はいったい何をしていたのだろう。 読書なしでは生きていけないので、いつも何かしらの本を読んでいるのは間違いないけど、どうもブログに書いてまとめるま…

 リック・ゲコスキー 『トールキンのガウン』

(高宮利行訳、早川書房2008) 現在、僕の本棚には何冊の本があるのだろう。数えてみたことがないからわからない。たぶん、「本好き」を称する人間としてはあまり多くないのではないかと思う。興味のない本は買わないし、買ったとしてもやがてブックオフに持…

 ウィンストンの飲むワイン

お正月とか親戚の結婚式とか、お酒が供される機会に子供も同席することがある。あるいは父親が風呂上りにテレビを観ているときかもしれない。いずれにしてもそんなとき、大人たちはビールをいかにもおいしそうに飲むので、子供は誰でも一回は試したくなるわ…

 ダフネ・デュ・モーリア 『レベッカ』

(大久保康雄訳、新潮文庫1971) (茅野美ど里訳、新潮文庫2008) Daphne du Maurier Rebecca 1938 不安にかられる瞬間がある。家を出るのが遅くなってしまったが、約束の時間に間に合うだろうか――マイペースな僕はこの種の不安には、残念ながらよく襲われる…

今回はインターバル

照明が明るくなって クラシック音楽のコンサート会場のイメージ。プログラムの前半が終わり、ここで二十分間の休憩。この時間をずっと座ってプログラムを眺めていてもいい。立ち上がって足を伸ばし、誰か知り合いでもいないかきょろきょろ見回してもいい。あ…

 『論座』2008年4月号の特集「理想の書評」

先日参加した会社の会議で、「採用面接で質問してはいけない事項一覧」というプリントが配られた。同和問題等で出身地を問いただすのはよろしくないということはわかっていたけれども、他にもあれこれ項目があり、僕が就職活動をしていた一昔前に比べて、最…

 ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの人びと』

(米本義孝訳、筑摩書房ちくま文庫、2008) James Joyce Dubliners 1914 超マニアのための入門書 今年の二月にちくま文庫版『ダブリンの人びと』が新訳として発売になった。ジェイムズ・ジョイスの『Dubliners』は岩波文庫でも新潮文庫でも発売されているか…

 アンジェラ・カーター 『ワイズ・チルドレン』

(太田良子訳 ハヤカワ文庫2001) Angela Carter Wise Children (1991) イギリス文学っていうのは、ちょっと「お地味」ではないかと思うときがある。とくに第二次世界大戦後の小説を読んでいるときに感じる。「華やかさ」というよりは、「暗さ」のほうが目…

サイモン・アーミテイジ 「叫び」

The Shout We went out into the school yard together, me and the boy whose name and face I don't remember. We were testing the range of the human voice: he had to shout for all he was worth, I had to raise an arm from across the divide to s…