2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 ウィリアム・トレヴァー『聖母の贈り物』

(栩木伸明訳、国書刊行会「短編小説の快楽」シリーズ、2007) イギリスの夏 イギリスに旅行に行くとしたら、いつの時期に出かけるのがいいだろうか。自分の仕事とか、旅行代金とか、そういう諸事情を一切忘れて、一番訪れてみたい時期を考えてみる。買い物…

 オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』

(松村達雄訳、講談社文庫1974) 〔Aldous Huxley Brave New World (1932)〕 アンチ・ユートピア小説 たしか大学二年生の頃のこと。もう十年以上も前の話だ。「英語が勉強できるからいいかも」くらいの、ほとんど気まぐれから英米文学を専攻してしまった僕…

 スタニスワフ・レム 『大失敗』

(久山宏一訳、国書刊行会2007) レムの最終SF作品 今回はイギリス文学から離れて、僕が敬愛してやまないポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの、最近出された新たな翻訳作品について。 『大失敗(フィアスコ)』はレムの最後の長編SFで、本国ポーランドで…

 エリザベス・テイラーについて

復活? 前回、『家族のかたち』というアンソロージーを紹介した中で、エリザベス・テイラー(小説家)について少し書いた。今回はその続き。彼女についてもう少し。 エリザベス・テイラーの場合、名前の後ろに「(小説家)」とか「(作家)」と入れないと、…