その他の読書

メルヴィン・ブラッグ『英語の冒険』

(三川基好訳、講談社学術文庫2008) Melvyn Bragg The Adventure of English: The Biography of a Language (2003) 退屈な文学史 どの大学に入学したとしても、イギリス文学を専攻すると、イギリス文学史が必修科目になるのだろうと想像する。これは、最終…

 いったい何をしていたのか。

すっかりご無沙汰になってしまっていた、かわいそうなこのブログ。今年はなかなか更新されず、書き手はいったい何をしていたのだろう。 読書なしでは生きていけないので、いつも何かしらの本を読んでいるのは間違いないけど、どうもブログに書いてまとめるま…

 リック・ゲコスキー 『トールキンのガウン』

(高宮利行訳、早川書房2008) 現在、僕の本棚には何冊の本があるのだろう。数えてみたことがないからわからない。たぶん、「本好き」を称する人間としてはあまり多くないのではないかと思う。興味のない本は買わないし、買ったとしてもやがてブックオフに持…

 『論座』2008年4月号の特集「理想の書評」

先日参加した会社の会議で、「採用面接で質問してはいけない事項一覧」というプリントが配られた。同和問題等で出身地を問いただすのはよろしくないということはわかっていたけれども、他にもあれこれ項目があり、僕が就職活動をしていた一昔前に比べて、最…

 ジョージ・オーウェル 『一杯のおいしい紅茶』

(小野寺健編訳、朔北社1995) オーウェルのイギリス人気質 こういうブログでも、あるいは新聞や雑誌とか、どのような機会でもいいのだが、もしあなたがエッセイストだったとして、何でもいいから好きなことを書いてくださいと頼まれたら、どんなことを書く…

J.M.クッツェー『夷狄を待ちながら』

(土岐恒二訳、集英社文庫 2003) 〔J.M.Coetzee Waiting for the Barbarians 1980〕 タイトルの翻訳 今回もそうだけど、英語で書かれた小説(とくにイギリス圏のもの)を、僕は日本語で読んでいる。そして読んでみて「これはいい!」と思った本は、できるだ…

 ヴォネガット語録

ヒューマニスト 彼はユーモア溢れるヒューマニスト。そして何よりも、思いやりのあるやさしい人だ。 「わたしはただ、恐ろしい苦難から抜け出られない人がたくさんいることを知っている。だから、人間が苦しみから抜け出すのはわけないと思っている連中を見…

 富山太佳夫『文化と精読 新しい文学入門』

(名古屋大学出版会2003) 多様な解釈 先日の新聞に、こんな記事が載っていた: 「人生ゲーム」も「脱お金」 米製造元、新版発売へ 日本でも人気の「人生ゲーム」をつくる米ハズブロ社は、紙幣にかわっておもちゃのVISAカードで支払い、大金持ちになるか…

 スタニスワフ・レム 『大失敗』

(久山宏一訳、国書刊行会2007) レムの最終SF作品 今回はイギリス文学から離れて、僕が敬愛してやまないポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの、最近出された新たな翻訳作品について。 『大失敗(フィアスコ)』はレムの最後の長編SFで、本国ポーランドで…

 笑いのちから

■富山太佳夫 『笑う大英帝国――文化としてのユーモア』(岩波書店、岩波新書 2006) ■澤村灌・高儀進編 『イギリス・ユーモア文学傑作選 笑いの遊歩道』(白水社、白水Uブックス 1990) ユーモア精神をお勉強 先日、紀伊国屋書店新宿本店の五階で「笑いのちか…