2007年回顧(このブログ編)

やる気なし!?

 さっそく振り返ってみるとしよう。まずは更新ペースの問題から。以前は時間のあるときに不定期で更新していたこのブログだけれど、今年の二月から金曜日更新ということに決めてみた。この作戦、六月までは順調だった。ちゃんと毎月四回更新できていたのだから。ところが、七月くらいから隔週にペースダウン。そして、ご存知のかたは既にご承知のとおり、最近はこの二週間おきのペースさえ守れなくなっている(便宜上、日付だけは隔週金曜日に設定しているが、実際のところ遅れて更新してしまっている)。

 さてはタイセイ、ついにやる気をなくしたか?…このようにお感じの方もおられると思うが、うーんと、べつにやる気がないわけではなくて、他のことに費やす時間が今年後半から多くなってきて(水泳とか)、パソコンの前に何時間も座る機会が減ってしまっていることが大きな原因。その「他のこと」に夢中になるのではなくて、このブログにもっと時間をかければいいじゃん、と言われてしまえばその通りなのであって、何を言っても結局は言い訳に過ぎないのだけれども。ちなみに、昨年2006年は前夜に飲みに誘われて徹夜してしまい、翌日の休日はとてもブログどころの健康状態(精神状態)ではなかったという事態が頻発したが、その上司も会社を去り、今年はそのようなアルコール性の更新障害は発生しなかった。あんなに夜中にお酒を飲んだことが最近ではむしろ懐かしいくらい。

2007年の読書傾向

 今年この場で取り上げた小説をざっと羅列してみると:

★ ジュリアン・バーンズ 『イングランドイングランド』 (1月8日)
★ オルダス・ハクスリー 『すばらしい新世界』 (2月16日)
★ ウィリアム・トレヴァー 短編集『聖母の贈り物』 (2月23日)
★ B.S.ジョンソン 『老人ホーム――一夜のコメディー』 (3月2日)
★ ジョン・ベイリー 『赤い帽子』 (3月16日)
★ グレアム・グリーン 『権力と栄光』 (4月13日)
★ ロレンス・ダレル 『ジュスティーヌ』 (4月27日)
★ ジョージ・エリオット 『ミドルマーチ』 (5月)
★ ヴァージニア・ウルフ 『灯台へ』 (5月25日)
★ マーガレット・ドラブル 『夏の鳥かご』 (6月1日)
★ ジュリアン・バーンズ 『太陽を見つめて』 (6月22日)
★ A.S.バイアット 『ゲーム』 (6月29日)
★ アイリス・マードック 『天使たちの時』 (7月6日)
★ アントニー・バージェス 『エンダビー氏の内側』 (7月20日
★ アンガス・ウィルソン 短編集『悪い仲間』 (8月3日)
★ ヴァージニア・ウルフ 『ダロウェイ夫人』 (8月31日)
★ マーガレット・ドラブル 『針の眼』 (9月7日)
★ ジェイン・オースティン 『分別と多感』 (9月21日)
★ アントニー・バージェス 『1985年』 (10月5日)
★ D.H.ロレンス 『恋する女たち』 (10月〜11月)
★ エリザベス・テイラー 『エンジェル』 (12月14日)

 改めて書き出してみると、今年もあれこれ読んだなあと感じる。このブログでは、第二次大戦後のイギリス小説をメインにとは思っているけど、2007年は1945年以前の小説が多くなってしまったかもしれない。今まで読んだことがなかったジョージ・エリオットの『ミドルマーチ』と、D.H.ロレンスの『恋する女たち』をじっくり読むことができたのはいい経験だった。それと、敬遠していたヴァージニア・ウルフが身近に感じられたのもよかった。しかし、こういういわゆる「大作」は、ブログに感想をまとめるのが大変だった。よく知られている作品だけに、ありがちなことを書いても意味がないと思うし、でもかといって個性的なことを書くのも難しい。

 それと、別に当初から意図していたわけではなかったけど、「姉妹」が登場する小説を好んで選択する結果にもなった。とくに、実際に姉妹でもある二人の作家、マーガレット・ドラブルとA.S.バイアットが、それぞれ姉妹関係をテーマとして書いた小説『夏の鳥かご』と『ゲーム』を読み比べる作戦は、個人的にはなかなかおもしろかった。こういう「姉妹」テーマのほかに、新たに刊行された翻訳作品のうち、興味がわいたものをニュース的に取り上げるようにもしている。2007年のブログでいえば、『イングランドイングランド』、『聖母の贈り物』、『赤い帽子』、『ジュスティーヌ』、それに『エンジェル』はこの方針で書いたもの。

 しかし…第二次世界大戦後のイギリス小説というのは、それほどメジャーな文学ジャンルではないと思うのだが、それでも、本当に星の数ほどの作品が存在する。常々、翻訳が少なすぎる、もっともっと翻訳されるべきだ、と感じているが、それでも僕はここで翻訳されたもの(それも、紹介するに値すると自分が感じる作家のもの)を全部ここで取り上げようと考えると、気が遠くなりそうだ。2005年の秋にこのブログを始める以前、僕はアイリス・マードックにどっぷり浸っていたが、彼女の、あのたくさんある小説をもっと紹介して、魅力をもっと書いてみたいなあと思う。それに、ちょうど今から十年くらい前、僕はデイヴィッド・ロッジを愛読していたが、あの熱中した経験もこのブログに復活させてみたい。それと、やっぱりドリス・レッシング。今、旬の作家ということもあるが、『シカスタ』のように、僕の二つの好きなテイスト、つまり「イギリス文学」と「SF」が融合する稀有な作家でもある。時間をかけてゆっくり読書したいなあと思う。

2008年の展望

 以下は、2006年末に書いたもの。

 我が家の本棚には、まだじっくりと読んでいない本が、今や遅しと順番を待っている状態。一日24時間、週休二日ではとても追いつけない。それなのに、新しい本が続々と本棚に到着する。そんな中でも、一応読んでみたいと思っているのは、まず、戦後の男性作家たち。とくにアンガス・ウィルソンは何冊かあるので、試してみたい。(想像するに、きっとかなり地味な感じの作風だと思うが、20世紀イギリス文学という観点からは、やっぱり興味がある。)他に、アントニー・バージェスとキングズリー・エイミスとか。もし僕が、ローレンス・ダレルとアラン・シリトーとジョン・ファウルズを取り上げたら、苦手な食べ物もがんばって食べているということで、褒めてやってほしい。


 女性作家だと、スパークとマードックとドラブルの本で取り上げていないものが、まだたくさんあるので、そういうのを紹介することになると思う。あと先日、ドリス・レッシングの『草は歌っている』(翻訳)を入手したので、それも読んでみたい。自分で言うのもなんだが、これは入手困難な一冊。かなり探した。

 
 さらに、戦前から戦後の作家でちょっとマイナーな人たちもいる。L.P.ハートリーや、C.P.スノー、アントニー・ポウエル、それにエリザベス・ボウエン、エリザベス・テイラー、コンプトン=バーネットなど。こういう人たちも、いい機会があればぜひ。


 新しい世代の作家の「味見」も続けていく予定で、既に登場したイアン・マキューアンジュリアン・バーンズに加えて、マーティン・エイミスとかも。あと、デイヴィッド・ロッジとマルカム・ブラッドベリについても。

 というか、2008年も、このまんまじゃんって思う。アンガス・ウィルソンももう一冊読んでみたい。ダレル、シリトー、ファウルズに、エイミス親子、スパーク、ドラブル、マードック、レッシング。「マイナーな人」もメジャーな人も…みんな大集合の2008年、になればいいな、と。